大阪城(徳川期大坂城)の本丸東面石垣。この石垣の高さは約32メートルで日本一の高さを誇る。石垣の根石からの高さで水面下にもまだ石垣が隠れていることになる。大阪では、ごくまれに高石垣の頂上から人が誤って落ちてしまう事故のニュースが流れるが、もちろん無傷ではいられない高さだ。
石垣の高さ第2位の城は伊賀上野城(三重県)の本丸西面石垣で高さ29.5メートルと言われている。実はこの2城の石垣は向かい合っている。伊賀上野城の築城理由は大坂城包囲網の一翼を担うこと。つまりは大坂方に向かって築かれた城で、その方角の本丸西側に高石垣を築いている。一方、大坂城は敵対するかのように東側に高石垣を築いている。と言っても実はこれ、歴史に思いをはせて想像してみるとちょっとロマンが香り出しそうなのだが、現在の大阪城は徳川期大坂城なので、あり得ない話。余談ながら両城ともに藤堂高虎の設計なのも、なにやら意味深に聞こえてきそうだが、もちろんそういった意図は無い。
本丸石垣を北面も入れて捉えた写真。
大阪城二の丸南面石垣も高石垣で、本丸と同じアングルで捉えた貴重な1枚。
(文・写真=岡 泰行)