写真:岡 泰行

花隈城の歴史と見どころ

花隈城(はなくまじょう)は、永禄10年(1567)信長が、荒木村重に1年で命じて築かせた城だ。天正3年(1575)石山本願寺に対する西国の援助を断つための拠点として大改築された。天正6年(1578)、荒木村重が謀反し、天正8年(1580)に池田信輝に攻められ開城する。当時、花隈城を守っていたのは、荒木村重の親戚、荒木元清で、鞆に逃れるが後に許され秀吉の家臣となっている。花隈城はその役目を終え、資材は兵庫城に転用された。城下町は花隈城の東に、侍町が二ヶ所、足軽町が三ヶ所あり、西に町屋があったが、城が破却されて後は、花隈村となり現在の花隈町となっている。

この地はもとは六甲山と海に挟まれた狭い土地で、海に面した小高い丘に花隈城はあった。この城を無視して通り抜けることはできない立地だ。神戸市によると、その規模は大きく、東は神戸市立神戸生田中学校から西は阪急花隈駅西口付近の東西約700m、北は兵庫県庁からJRの高架までの南北約230mと想像されている。現在、花隈城跡とされる場所には、昭和44年(1969)に屋上を城跡公園として整備した神戸市立花隈駐車場があり、その外壁が復興石垣となっている。

花隈城の石碑
頂上付近に「花隈城趾」石碑と解説板が設置されている。解説板によるとこの石碑は阪神淡路大震災で倒壊したため現在のものは2代目で、初代の石碑そっくりに造られた。石碑の書は岡山池田家当主の侯爵池田宣政によるものだ。

花隈城天主閣之趾(福徳寺)
また、花隈町の福徳寺付近が天守の場所と伝わり、門前に「花隈城天主閣之趾」の石碑(記念碑)が建つ。この石碑の書は花隈城最後の城主、荒木元清の20代目にあたる子孫の方が書いたもので、昭和44年(1969)、四百回忌法要記念として、子孫の方と花隈町自治会、新興会、神戸市教育委員会、神戸市談会などにより建立された。

福徳寺にはそのほか、花隈城の瓦や城跡から出土した無縁仏の石塔が安置されている。昭和38年(1963)の花隈城跡南を走る道路拡張工事が行われたが、この時に出土した室町期の五輪塔も福徳寺に納められている。福徳寺は、花隈城跡から北西に徒歩約3分(800m)、最近はこの場所がGoogleマップに登場している。

花隈城の撮影方法

花隈城の石碑は東向きだ。夕方に行くと逆光になるぞ。

花隈城の写真集

城郭カメラマン撮影の写真で探る花隈城の魅力と見どころ「お城めぐりFAN LIBRARY」はこちらから。

花隈城の関連史跡

城では、花隈城から資材が転用された兵庫城や、少し足を伸ばして松永久秀の中世山城、滝山城。そのほか、花隈城付近で愉しむ歴史体感スポットを紹介。

姫路藩御座船の船屋形が現存

姫路藩御座船花隈城から徒歩10分の距離に「相楽園」がある。神戸市が管理する公園で池泉回遊式の日本庭園だ。その一角に姫路藩主が河川の遊覧に使用していた『川御座船の船屋形』が、移築現存しているので見ておくと良い。現存3船屋形のうちのひとつだ。

現代版の御座船

神戸港の観光船「御座船安宅丸」神戸港の観光船「御座船安宅丸」。江戸幕府3代将軍家光の命で造られた安宅丸をモチーフにしている。徳川の家紋がちりばめられ、JR九州「ななつ星in九州」のデザイナーが手がけた船内も美しい。2021年まで東京湾のクルーズ船として活躍していたが、同年10月より神戸港で運航されている。

神戸の幕末関連歴史スポット

神戸海洋博物館神戸港の方に足を向ければ「神戸海軍操練所跡(石碑)」や「神戸海洋博物館」、「和田岬砲台(要事前申込)」がある。神戸海洋博物館には、神戸海軍操練所のジオラマ模型やそのほか帆船模型の展示が多く、ウィリアム・アダムス(三浦按針)が乗船してきた東インド会社のリーフデ号や、ペリーが来航した蒸気外輪船サスケハナ号、タイタニック号、船艦大和など歴史上の船が数多く模型で展示されており目で見て愉しめる。

花隈城のおすすめ旅グルメ

神戸の中華街「南京町」花隈城界隈に飲食店は乏しいが、ここは神戸の地。繁華街が元町から三宮にかけて拡がり、中華街「南京町」もある。関西人はいずれも徒歩で散策する範囲だ。南下すれば神戸港もある。神戸は食を愉しむには事欠かないエリアだ。

花隈城のアクセス・所在地

所在地

住所:兵庫県神戸市中央区花隈町1 [MAP] 県別一覧[兵庫県]

開館時間

神戸市立花隈駐車場の頂上付近(石碑)は散策自由。

アクセス

鉄道利用

阪急神戸線、花隈駅下車、東へ徒歩1分(90m)。または、JR山陽本線、阪神電鉄本線、いずれも元町駅下車、西へ徒歩約4分(300m)。神戸市立花隈駐車場を目指す。駐車場の頂上付近に石碑と案内板がある。

マイカー利用

阪神高速3号神戸線、京橋出口から西へ約7分(約1.7km)、花隈城跡(神戸市立花隈駐車場)を目指す。

城ファンの気になるところ (4)

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    あたかも城跡のように石垣があるが、これらは全てウソ。丸ごと駐車場になっている。天守台は悲しいかな通風口。まわりは××ホテルに囲まれている。

    ( 半兵衛)さんより

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    通常、城は市民の憩いの場となっているが、ここは誰もいない。唯一、ハトの憩いの場となっているようだ。ものすごい数のハトがいる。

    ( 半兵衛)さんより

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    元、伊丹城の支城。本来は海に面していたが、現在は内陸です。城址公園となっており、地下は神戸市営駐車場となっています。荒木村重が、謀反のあと、逃げ込んだ言い伝えがあります。遺構としては、石垣が往時をしのばせるのみ…地元民は、戦国の城跡という、意識すらない、わすれられた、城です。規模も小さい。わざわざ、見る値打ちは……です。

    ( たくやん)さんより

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    神戸市営地下鉄工事の際、花隈城に通じる抜け穴が発見されたとか。当時は話題に上ったが、現在は定かではない。

    ( Rin)さんより

城の情報

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