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東映配給 映画『火天の城』

火天の城

織田信長の厳命、下る。
「安土の山、まるごと一つ城にせよ」

総工費約1,000億円、希代の戦国武将・織田信長の威光と開明を象徴した、前代未聞の城郭要塞、安土城。 その建立の陰には知られざる名工、岡部又右衛門がいた。

今から430年前。織田信長が天下一の城・安土城を建てたのは、尾張熱田の大工棟梁・岡部又右衛門が大抜擢されてのことだった。この城作りは当時の技術の粋を結集し、それまでの城の概念を越え後世に多大なる影響を与えた。誰も見たことのないものを創るその奇跡は、戦国時代が生んだ二人の天才が出会ったことから始まった。

ストーリー

信長と岡部又右衛門時に1575年(天正3年)、長篠の戦いで甲斐の武田勢を破った織田信長(椎名桔平)は、翌1576年(天正4年)、その天下統一事業を象徴するかのごとき居城を、琵琶湖を臨む安土の地に建築することを決意した。

織田信長それも五重の天主、西洋の大聖堂のような吹き抜けの構造を持った大城郭の建立を、である。果たして、丹羽長秀を築城奉行としながらも、設計及び現場の総棟梁として信長が見込んだ男こそ、今川義元との戦以来、十数年に渡って才気を評価してきた熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)であった。

安土城天守指図争い

信長から直々の指名を受け、後に行われた図面争いにおいても、金閣寺を建立した京の池上家、奈良の大仏殿建造を担った中井一門に勝ち抜いた又右衛門は、妻・田鶴(大竹しのぶ)や娘・凛(福田沙紀)、門下の番匠たちの支えを得ながら、築城を進めていく。しかし、巨大な城を支えるためにはその主柱に、これまでになく巨大な檜が必要であった。

出陣シーン妻・田鶴(大竹しのぶ)や娘・凛(福田沙紀)

理想の木材は木曽上松にあると踏んだ又右衛門は、意を決して信長の敵方・武田勝頼の領国に危険を顧みず分け入っていく。一方、国元では新たな戦乱の暗雲が立ちこめ、妻の田鶴にも病魔が迫っていた。やがて勃発する悲劇的な争い、仲間の死。又右衛門は目指す檜を得ることができるのか。信長の野心を現実のものにすることができるのだろうか……。

城ファンメモ

安土城址に足を運ぶとちょっとほかの城とはちがう独創性を感じた人も多いだろう。現代では五層の天守は見慣れた存在だが、当時はこの安土城が世界一の木造高層建築。

安土城の築城風景築城は「普請(土木)」と「作事(建築)」といわれるが、映画ではこの作事を掌る岡部又右衛門が主役。普請では文字通り縄を張って城のエリアを決めていく縄張りシーンや、近江の石工集団の穴太衆が登場し、安土城でそのありかは謎とされる蛇石を引き上げるシーンが描かれるなど、安土城に関わるエピソードも登場するから見逃せない。

木組みは木のくせ組み 木のくせ組みは人組み
人組みは人の心組み 人の心組みは棟梁の工人への思いやり
木のいのち木のこころ—天・地・人 (新潮文庫)

岡部又右衛門の仕事場西岡常一のこの言葉を思い起こさせるこの作品は、ひとりの宮大工の視点で切り取られた信長ストーリーともいえる。現代人は、昔の知恵を継承していないといわれることがあるが、本作品で言い換えれば、岡部又右衛門は知恵を持った昔の日本人、信長が現代の日本人という対比として捉えても面白い。

「火天の城」について

火天の城・西田敏行日本公開:2009年9月12日全国ロードショー
上映時間:2時間19分
製作費:15億円
配給:東映

出演

西田敏行、福田沙紀、椎名桔平、西岡徳馬、渡辺いっけい、寺島進、山本太郎、石田卓也、河本準一、大竹しのぶ

キャスト・スタッフ

  • 原作:山本兼一(文藝春秋刊)
  • 監督:田中光敏 『化粧師』『精霊流し』
  • 脚本:横田与志 『化粧師』テレビ『こちら本池上署』など
  • 撮影:浜田 毅 『涙そうそう』『椿三十郎』
  • 美術監督:西岡善信 『梟の城』『長崎ぶらぶら節』『隠し剣 鬼の爪』
  • 美術:吉田 孝 『大奥』『茶々』
  • 音楽:岩代太郎 『舞妓Haaaan!』『日本沈没』『レッドクリフ』

©2009「火天の城」製作委員会

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