豊臣大坂城の極楽橋の遺構

古くから朝廷や武家と関係を持ってきた竹生島。戦国時代に小谷城を本拠とする浅井三代と、その後、長浜城を築いた秀吉、秀吉没後の豊臣家により保護されてきた。島には宝厳寺と都久夫須麻神社の二つの寺社がある。竹生島宝厳寺には弁財天信仰があり、信仰心の厚い浅井氏は一族をあげて竹生島弁財天を崇拝した。本堂には数多くの弁財天像が地域の有力者から奉納されており、その中に浅井久政と母、寿松が永禄9年(1556)に奉納した弁財天も安置されている(非公開)。

琵琶湖に浮かぶ竹生島(滋賀県)の宝厳寺観音堂唐門が、豊臣大坂城の極楽橋の遺構と伝わっている。豊臣期大坂城の極楽橋は、文禄5年(慶長元年・1596)にかけられた廊下橋で、秀吉没後の慶長5年(1600)に京都の豊国廟に移築される。さらに慶長7年、豊臣秀頼の竹生島再興に、徳川家康の寄進により竹生島に移築された。国宝となっている宝厳寺唐門はその極楽橋の入口部分と考えられており、豊臣大坂城の唯一の建築遺構とされている。

2020年5月22日、唐門と観音堂と渡廊の保存修理工事が完了した。レーザー測定で顔料や模様を分析し往時の姿にと漆や彩色の塗り直しと屋根の吹き替えが行われている。なお、唐門と観音堂と渡廊はもとはひとつの建物だった可能性が高いとされており、移築時に改編された可能性があるという。

修復前と修復後の写真を交え掲載する。

大坂城極楽橋の唐門
大坂城極楽橋の唐門(修復後)
大坂城極楽橋の唐門(修復後)
宝厳寺観音堂唐門の外観。

宝厳寺観音堂唐門の蟇股
宝厳寺観音堂唐門の蟇股(修復後)
宝厳寺観音堂唐門の蟇股。

宝厳寺観音堂唐門(修復後)
宝厳寺観音堂唐門
唐門内部、屋根を見上げる。細かな装飾が見られる。

宝厳寺観音堂(修復後)
宝厳寺観音堂の天井。

舟廊下
舟廊下(修復後)
唐門から観音堂に入り、先に進むと舟廊下(重要文化財)がある。朝鮮出兵の時の秀吉の御座舟、日本丸の船櫓を利用して造られている。

都久夫須麻神社本殿
竹生島にはそのほか、伏見城日暮御殿が都久夫須麻神社本殿として移築されたと伝わっている。

(文・写真=岡 泰行)

参考文献:
『豊臣家ゆかりの天女の島』大阪城天守閣・長浜市長浜城歴史博物館
『竹生島 琵琶湖に浮かぶ神の島』竹生島奉賛会

竹生島へのアクセス

住所:滋賀県長浜市早崎町
長浜港、または今津港から竹生島港まで約30分。
時刻表や料金は下記サイトで。

豊臣大坂城
大阪城の見どころと特別公開ガイド
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