足軽組辻番所と善利組組屋敷 彦根城下町の見どころ
足軽組のうち、善利組組屋敷は現在の彦根市芹橋2丁目あたりにあり、東西約750m、南北約300mの地区に約700戸があったという。足軽の住居といえば長屋というイメージもあるが、彦根藩の足軽屋敷はそれぞれが独立した戸建てで木戸門や塀も備え、庭もあった。
通りには、行き止まりである「どんつき」や、通りの途中を折り曲げて見通しを悪くした「食い違い」など、防御を高める工夫もされていた。また、不審者や侵入者を見張るための辻番所も置かれている。
足軽組辻番所には、十字路に見張り窓が付いている。最後の写真は内部から見た見張り窓。写真には写っていないが、この部屋に直接出入りしていた専用の扉も設置されている。
善利組組屋敷。住居として使われているため見学は外観のみ。
善利組をはじめ、足軽組はそれぞれがふだんから家族ぐるみでまとまった集団でも会った。その名残が、今の自治会や地区防災の活動にも名残を残しているという。現在も当時の屋敷や辻番所が十数棟残り、そのほとんどが住居として使われている。そのため、外観のみの見学になる(彦根市栄町の「彦根まちかど資料館たきがい」など、不定期に公開されるところもある)が、当時のよすがを求めて訪ねたい場所でもある。
(文=mario 写真=岡 泰行)