七曲がりと彦根仏壇 彦根城下町の見どころ
中山道の高宮宿から彦根城下に続く彦根道は、見通しを悪くするために途中で道が何度か屈曲されているため「七曲がり」と呼ばれている。沿道には、米屋、茶屋、桶屋などの商店が建ち並んでいた。現在では、伝統工芸品の「彦根仏壇」の店舗が多く並ぶ町として知られている。
彦根仏壇は、塗師、指物師、錺金物師といった鎧などの武具製作に携わっていた職人たちが、戦のない時代になって武具の需要が減ったことから、仏壇づくりに携わったのがはじまりとされる。背景には彦根藩による奨励策や、キリシタン禁制によって家に仏壇を置くことが広まったことがある。
18世紀ごろからの問屋制家内工業と分業制が整備される中で発展してきた。それぞれの部材を作る職人たちが近くにいるとお互いに便利なため、町が形成されていったのである。
今では七曲がりだけではなく、彦根市やその周辺でも製造されている。1975(昭和50)年に通商産業大臣による「伝統的工芸品」に指定された。彦根仏壇事業協同組合の検査により伝統工芸品と組合合格壇が認定され、地域団体商標としても登録されている。
(文=mario 写真=岡 泰行)